個人で事業を行っている方は
確定申告では12月は最終月に相当します。
たとえ副業でも、本格的に起業しても
決算は12月と決まっています。
では起業したら全員に
確定申告が必要なのでしょうか?
ちなみに申告期限は翌年の3月15日までです。
※土日の場合は翌月曜日まで
起業したら確定申告は必要?会社員とのダブルワークで頑張りたい!
一言でいえば
確定申告しなければいけないかどうかは
「人による」というのが結論。
まずはあなたが会社員であるとして
お話をしていきます。
年末調整をしているなら原則として確定申告は不要
あなたが会社員であれば
『年末調整』という言葉を
聞いたことがあるはずです。
たいていは12月最後の給与のときに
「年末調整還付額」として
いつもより数千~数万円程度
(給与水準で異なる)が
多くもらえるケースが一般的。
「源泉徴収票」という名前の紙も
(以前はA6サイズ、今は倍のA5サイズ)
給与明細といっしょに渡されたはずです。
年末調整の意味を知っていますか?
この年末調整というのは
12月末現在の状況に応じて
「給与についての」
「税額1年分を再計算する」
という意味があるんです。
毎月の給与では若干ですが
私たちに不利な計算方法になっているので
ちょっとだけ税金が高く設定されています。
これを正しく再計算するので
最終月に税金が戻されるわけです。
会社が税金の徴収を代行しているので
この税金の戻し(還付)を行うのは
会社となります。
還付額の増減の典型的なパターン
例をあげましょう。
①扶養する家族が増えていた
(例:赤ちゃんが生まれた)
⇒還付金額が増加する
②扶養する家族が減った
(例:子どもが独立した)
⇒還付額が減少、または不足が生じて別途徴収へ
本来ならこうした扶養関係に変更が生じたら
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
※国税庁のサイトに飛びます
に記入して、会社に届け出るのがルール。
しかし、社員全員に衆知徹底することが
難しいこともあります。
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でも法律上、年末調整の計算までに
「来年分の扶養控除申告書」を
提出してもらうことになっているので
それを見て昨年と扶養関係に変化がないか
確認しているのです。
ヒアリングが欠かせないので
給与担当者には負荷がかかる仕事です。
年末調整していても確定申告が必須となる場合とは
年末調整は給与について
税金(所得税)を精算する仕組みです。
だからそれ以外の要素があるなら
原則として申告が必要になります。
<給与以外の収入がある場合>
例えばアパート経営もしているなら
不動産の申告が必要になりますね。
株式の売買、FXの取引も対象ですし
配当収入でも必要になることがあります。
なお失業給付は非課税なので
無視してOKです。
あなたが起業して
給与以外の収入を得た場合には
やはり必要ということになりますね。
確定申告書にはこうした情報も分類整理しながら
記載して、税額を計算することになります。
<特例を受けたい場合>
例えば
・自宅を購入した
・寄付を行った
・多額の医療費がかかった
一定の条件はありますが
税金が安くなる特例が設定されています。
こうした場合には確定申告しないと
受けることができません。
今年退職して年末調整を受けていない場合は確定申告が有利
あなたが年末まで在籍せずに退職したなら
給与についての税額の正しい精算を
行っていないことになります。
だから確定申告を行えば
たいていの場合は税金が戻されます(還付)。
この場合、会社からではなくて
国から直接振込が行われるのです。
申告しなければ・・
高い税金を負担したままということに。
あなたが不利になるだけで
特に罰則もありません。
源泉徴収票が手元にあるなら
やらない手はないと思いますけどね。
起業している場合には計算してみないとわからない
さて、ここからは
会社員のあなたが起業したケースを考えます。
申告不要のケース
①あなたが現在会社員であって
②起業による利益が20万円以下なら
申告不要となっています。
例えば
・今年起業したけれど
まだ売上が発生していない
・売上があっても
経費を差し引いた利益が20万円以下なら
どちらも申告不要ということです。
ここでの利益とは
「収入」ー「経費」の差額のこと。
収入の全て、経費の全てが
検証できるようにしておかないとダメですよ。
でないと正しく計算できませんから。
申告不要でも申告する?
取引先や銀行などとの関係から
確定申告書の提出控の提示を
求められる場合があります。
提出不要だからと申告しなければ
提出した実績がないことになるんです。
提出実績=活動実績と考える相手には
証拠を示すことができないことになります。
申告した方がいいケース
会社員の身で起業したけれど
赤字の場合には
⇒利益が20万円以下だから申告不要
それでも申告しておくと
所得を圧縮できるケースがあります。
給与所得で負担した税金が
事業所得の赤字の分相殺されて
戻ってくる効果があります。
条件は事業所得か不動産所得で
赤字が生じていること。
ちょっとした副業程度ではなくて
きちんとした規模・内容があることが必要です。
当然帳簿なども
作成・記録しておく必要があります。
まとめ ~会社員で起業したら確定申告が必要か~
あなたが会社員であるという前提でも
いろいろあることが
お分かりいただけたかと思います。
複雑になったので、まとめますね。
なお提出に関わらず帳簿や計算は
必要と考えておいた方がいいです。
申告不要のケース
・副業による利益が20万円以下
申告が必要なケース
・税制上の特例を受けたい
・給与の他に利益が20万円を超える収入がある
・取引先や銀行から求められる可能性がある
申告した方が有利なケース
・今年退職して年末調整を受けていない
・事業が赤字だった
※判断に困ったらどうするか?
判断に迷ったら
相談に乗ってくれるのが税理士さんです。
ですが、顧問契約はハードルが高いですし
無料相談の機会はあまりありません。
そこでお近くの税務署に
電話で質問されることをおすすめします。
一般的な質問は、管轄の税務署から
国税局に転送されて
専門の方が対応されています。
丁寧に対応されており、怖くないですよ。