これから起業しようという人が目指すもの

起業の実務・税務

個人で起業してビジネスを開始するなら、まず自分で最後まで走る覚悟を決めておく必要があります。会社員の思考とは根本から異なります。副業であっても今後の発展を願っているなら、やはりそのマインドを早い時期に確立しておいた方がいいのです。

 

共同経営のワナ?!

「気が合うね!一緒にやろうか・・?」

起業を志す人が集まると意気投合して共同経営の話に発展することがよくあります。意識が高く、モチベーションの高い状態にありますから、気が合えば珍しい話ではありません。よくあるのは次のパターンです。

<ケース1> 法人を立ち上げてメンバーが会社役員となる
<ケース2> グループを作りメンバー同士の相乗効果を狙う

両者の違いはメンバーの立ち位置です。事業のメイン部分を複数のメンバーからなるグループで行うのが前者、個々で立つのが基本だが必要に応じて柔軟にコラボを組む場合が後者です。法人設立は必須ではありません。

 

法人を設立すると・・

法人格は法律で認められた架空の人格です。対して、私たちのような実在するリアルな存在を自然人といいます。法人にはルールが定められており、守らなければ罰則のある強制的なものです。それが個人にはない大きな信用力を産んでいます。

ルールの典型例は登記の手続きでしょうか。設立のときだけでなく役員の任期ごとに登記が必要です。司法書士に依頼するパターンが定番ですが、もちろん費用が発生します。

適用される法律も変わります。税法なら法人税。個人に対する所得税とは別物です。法人から個人に給与(役員報酬)を出すことはできますが、法人には法人税が課され、給与を受け取った個人は所得税の課税を受けることになります。

ちなみに税務調査は法人の方が圧倒的に多いようです。

法人格は生きている!

一度正式な手続きで生まれた法人は、メンテナンスの手間も継続してかかるということですね。メンバーの意見相違が大きくなり共同経営をやめたくなったとしても、清算手続きを行わない限り法人格は残り続けます。申告義務もずっと続くのです。

昔と異なり出資額の最低制限はないので設立のハードルは下がりました。株式会社は1000万円以上を出資しないと設立が認められなかった時代があったのです。だからお金をかき集めて一時的に「見せ金」をつくる手法が横行しました。今はそんな必要はありません。

出資比率はトラブルのもと

ただし出資者が抜けるとやっかいですね。残ったメンバーで株式を買い戻す必要があるためです。もともとお金がないので出資できなかったことを考えると・・。やむなく個人で借金を抱えることにもなります。

出資比率をめぐって争いになることは多いようです。2人なら1:1が公平かもしれませんが、多数決のよる決定力は事実上失われます。力関係が明確であれば、単独出資の方がトラブルがありません。出口戦略は常に意識しておいた方がいいでしょう。仲が良ければなおさらです。

 

これからの時代は柔軟なネットワークか

法人という組織形態が社会的に大きな役割を果たしてきたことは間違いありません。資本力・マンパワーの大きさは個人には対抗しがたいものでした。今後もいわゆるビックプロジェクトは、この組織力がなければ完遂することは難しいでしょう。

小回りを活かすには小さなネットワークが強い

しかし、比較的小さい世界ではどうでしょうか。スモールビジネスなら比較的短期間に方向を変えたり、新規事業に参入したりすることが可能です。ビジネス自体もどんどん短命化していると言われています。昔は会社の寿命は30年と言われていましたが、今や数年でもおかしくありません。

ルールは書面で決めておく

責任関係が明確でないことが、相互の誤解を生むきっかけを作ります。パートナーシップを結ぶなら、最初から決めておくに限ります。1年ごとに更新する「覚書き」を用意して相互の意思を確認し、必要なら取り決めを増やせばいいのです。

売上や経費の按分方法など書面で交わし、定期的に計算書面を作成しておくことをおススメします。

歴史的には法人以前の形は、プロジェクト単位での精算方式だったようです。大航海時代の冒険のように、無事帰国したら宝物を分け合うイメージですね。

これからコラボ起業する人に大事なこと

・あなたが必要な時に必要な人と組むことのできる力があるか

・あなたが相手からも必要とされる人物であるか。

つまりコラボして「1+1=2」以上の成果をもたらす存在かということです。
テレワークの経験はこのことを明確にしたように感じませんか?

やはり最後は「自分であることを確立しているか」ということになりますね。そのためには単に商品やサービスのことだけでなく、経営とは何かという視点にも継続的に関心を向ける必要があります。

まずあなたが一人の経営者としての気構えを持つこと。甘えを脱し、自分の責任と自分の成長が「自分のあり方」にかかっていると自覚することですね。これほど人間を成長させるものはないのではないでしょうか。